絵画道場ディスカッションvol.64
「富永絢美の作品をめぐって」
2015年7月16日(木)
アートプレイスU2にて開催中の展覧会「 warp! 」。
会場にて作品をめぐるディスカッションが開催された。
展示会場には60点近い数のコラージュの作品がずらりと並べられている。
作品は、古い雑誌などからイメージ写真を切り取り、それを板パネルに貼り合せて作られている。所々に鉛筆や絵の具が使用されているものもあるが、それはペイントというよりはあくまでコラージュ素材の一つとして扱われているように見える。普段はペイントでの制作も進める彼女だが、今回の展示に向けては、コラージュによる「意味のわからない空間」を日々ひたすら作りだしたのだそうだ。
富永さんは何かメッセージ性を持って作品を作り出しているのではなく「コラージュをして、意味のわからない空間が現れた時に、自分のセンスが発揮できる感じがする」のだという。画面上に物語性やメッセージ性のようなものが発生しないように注意をして彼女は制作を進めた。
予め完成しているイメージ素材を編集センスのみで操作した作品からは、制作作業の上での軽やかな瞬発力が垣間見える。展示空間全体が彼女のセンスのみで打ち出されていると言えるだろう。
warpとはSFなどに時折登場する、空間の歪みを利用して目的地に到達することである。もともと居た現実世界から、理屈の説明無しにいきなり空間の歪 みによる別世界へと飛び越えてしまう。彼女の作品も展覧会名「 warp! 」に違わず、細かい理屈のようなものをポンと飛び越え鑑賞者に異空間の様子を覗かせる。
( 文:短期大学部美術分野 教務助手 海野由佳 )
前期の絵画道場は今回で終了いたします。後期も皆様のご来場をお待ちしています。