本年度大学を卒業し、東京芸術大学の大学院に進学して制作に励んでいます。
私は在学中から油画分野に在籍しながらも、油絵などの平面作品から離れたインスタレーション(空間に仮設する)作品をメインに制作してきました。
フェイクで造ったmeijiの板チョコを壁に貼りチョコレートの壁を造る、フェイクのポップコーンでいっぱいにしたバスタブに自分が入る、などです。私はそれらのお菓子を「かわいい」と感じており、“かわいいものが大量にあることや、囲まれていることがこの上なく幸せである”という「至福」の概念を万人に共通する価値として世界に存在させたいと思っています。
そのため、最近では作品に自分が登場して、その「至福」を表現するという形をとることが多くなりました。まず、その価値がわかる人間が責任を持って「至福」を伝えることが、世界にその価値を伝えることに繋がるのではないかと思うからです。
東京でも嵯峨芸油画で学んだことをベースにして、ますます大規模にHAPPYを展開しています。
これだけ多くの人がいて、資材や機材・設備があり、制作に集中できる恵まれた環境である嵯峨芸油画分野という場所を、思う存分に活用してほしいです。
大学ではとにかくいろんな人と話をし、繋がりを持つことをお薦めします。誰でも制作のことや将来のことなど、様々な想いや悩みがあるでしょう。それについて一人で考えたり調べたりすることはもちろん必要ですが、思い切っていろんな人に打ち明けてみることも非常に大切であると私は感じています。一人で考えても導き出せなかったことがあっという間に解決したり、自分にはない考え方を新たに発見したり、必要であれば協力して物事に立ち向かうことができるからです。また、卒業してからもいろんな人と繋がりがあるというのはとても嬉しいことです。
私は作品に様々なメディア(材料・手法)を使うことが多かったので、他分野の先生に材料や技術について相談に行かせていただいたり、機材や設備を使わせていただくことがよくあったので、油絵制作などの絵画以外の技術も身につけることができました。京都嵯峨芸術大学造形学科は専門分野の隔たりがなく、それぞれが専門的でありながらもすごくオープンにコミュニケーションが出来ますし、そのためにジャンルを超えての学びがいろいろな場で芽生えるチャンスに満ち溢れています。興味のあること、試してみたいことがあれば私は思い切って実行してみるべきであると思います。それは新鮮な刺激にもなりますし、なによりも自分の作品を様々な方向から見つめるいい機会にもなるのではないかと思います。
この大学、特に油画分野では制作技術や技法面の指導ももちろんのこと、表現の核になる部分、表現するとはどういうことなのか、そのためにどのように考えていくべきなのかなど、コンセプトを鍛えていくことに重点を置いた指導をしていただけます。だから、卒業生の皆さんを見ても美術に直接間接にかかわる世界で多くの方が活躍されていますし、制作者として息の長い活動をされている方が多く、注目されているアーティストも少なくありません。
私はただ絵を書くのが好きで、絵がうまくなりたいという漠然とした理由で芸術大学に入学しましたが、この大学の指導があったおかげで、自分の表現、テーマを見つけられました。それ がわかってきた頃から、作品を造るのが楽しくて楽しくて仕方がなくなりました。
旧・京都嵯峨芸術大学 油画分野(オフィシャルサイト)