2012年6月1日(金)16:30〜、絵画道場ディスカッションvol.43「森本雅士の作品をめぐって」が行われました。
ルーズリーフに描いたドローイングがランダム展示された壁を背に、作家と向き合う形で行われました。
なぜ、ドローイングなのか。
森本くんが言うには、キャンバスで描くとカッコつけて構えてしまって、描きたい"アレ"が隠れてしまう。ドローイングは、単語、発音、発話のような意味と結びつく以前の、赤ちゃんの初めて発した音のようなもので、キャンバスは文章のようなもの、と例えます。(自身の)ドローイングは、一枚一枚はただの音なので意味を持たず弱いが、集団となって並べることで、より強く"アレ"があらわれる。キャンバスで描くと、しっくりきたところで完成というルールを超えてしまう可能性が高いと感じるのだそうです。
森本くんの言う"アレ"とは何か。
ドローイングへの向かい方はいくつかのルールがあり、行為、方法論に重点があり、森本くん自体が作品のようになっているのではないか。など、しばらく質問が飛び交いました。
作者から、参加者にキャンバスに描くのはなぜ?という質問が投げかけられ、それぞれがこだわる支持体の理由について考える一幕もありました。
森本くんは、ドローイングをあとから眺めると、制作時思いつかなかった共通点に気づくことがあると言います。
今回の展示は、違う種類のパズルの中から共通点を見つけて、いくつかのピースを抜き出して並べるような、動かせる可能性を残した展示であると。
ドローイングについて、キャンバスについて、制作の方法論について、意識・意図の介入について、参加者と作者の間で積極的に意見が交わされたディスカッションでした。