絵画道場vol.50「立松葉月の作品を巡って」
2013年6月25日(火)
現在開催中の「立松葉月展/ a striking」の絵画道場ディスカッションが行われました。
今回はお菓子や飲み物も用意され、和やかな雰囲気の中でディスカッションがスタートしました。
絵画道場では作者がテーマを決めディスカッションが行うことができます。
今回のテーマ「気持ちいい表現」です。
作者の立松さんは「制作の中でうまく描写できた時の感触の心地よさ」が自身の制作の拠り所となっていると言います。
まず最初は制作を行う中で、何がみんなのモチベーションや心地よさを作り出しているのかという話から緩やかにディスカッションが始まりました。
そして制作方法の話になり、話題は「写真を見て絵画を制作すること」にうつります。
立松さんは撮った写真の中から、改めてその写真に映り込む美しさに惹かれ、写真を元に制作しているといいます。つまり、その写真を撮った時の感覚やその場所の雰囲気を描写・再現するためのものではなく、その写真自体の中に美しさや心地よさを見出して制作を行なっているようです。
参加者からは、
「(私の中では)道具として絵具を使うように使っているので、取り立てて考える必要性はない。」
「私はメモの代わりとして使用している。」
「写真を見て描くことができない。最終的には自分のスケッチしか頼りにならない。」
など、それぞれにとっての制作と写真の関係の在り方についての意見が交わされました。
写真を見て絵を描くことを通じて、モノのリアリティとは一体どのようなところにあるのかという話から、写真を見て描くことが自分の表現の中で絵画とどのような関係やリアリティを持っているのかを、それぞれが確かめるようにディスカッションは進んで行きました。
最後はドローイングと絵画の関係についての話になり、立松さんは絵画を制作する中で「気持ちいい」と感じた描写や絵具の動きに注目してドローイングを行なっているようです。そしてそれがまた絵画を制作するためのエスキースにもなっているようです。
それぞれにとってのドローイングの在り方を考えていくと、同時にまた絵画の在り方も明確になったのではないでしょうか。
さて、最後になりましたが次の絵画道場のご案内です。よろしくお願いします。
シリーズ「絵画への意志」vol.51/渡邊華菜 展「scream」
会期:2013年7月4日(木)〜7月23日(火) ※日・祝日休館
時間:9:00〜18:00 (土曜日16:00まで)
会場:京都嵯峨芸術大学/アートプレイスU2(有響館2F)
(文:嵯峨芸術大学油画研究室 教務助手 寺岡海)