絵画道場ディスカッションvol.53「 岡本絵琳子の作品を巡って 」
2013年11月13日(水)
「 岡本絵琳子の作品を巡って 」が開催されました。
作品を眺めるように扇形に椅子が配置され、ディスカッションはスタートしました。
会場には大小10点の油彩の作品が展示されています。作品は2種類のシリーズによって展開されており、向かって左側には「やわ」、右側には「moco」(もこ)と名付けられたシリーズが並びます。
始めに作家の岡本さんが作品について解説をしてくれました。
岡本さんは今回、抽象画の作品を展示しています。タッチの異なる2種類のシリーズは 「 平面の作品だけど、モコッとなって見える面白さを感じてほしい 」 という共通の目的意識から制作されています。
元々はモチーフを具象的に描いた作品を制作していましたが、徐々に 画面の中で色や形を組み合わせて起こる現象に興味を持つようになり、現在は抽象画を描いています。
岡本さんの モコッ の正体を突き止めるべく、来場者からは様々な質問が挙りました。
「 モコッ とは元々はどういったイメージだったのか 」という質問に、「 あえて定義するなら、人の皮膚の盛り上がりのイメージがそれに近い 」のだと岡本さんは話します。人の皮膚のように、 向こう側にずっしりとした何かが詰まっている厚み を絵画という2次元において表現したいのだそうです。
モコッ の感覚を手繰り寄せながら、さらに 意見・質問・回答 を繰り返しディスカッションは進みます。
「 鑑賞者にはあまり難しく考えずに、あれが好きといった感じで画面の中の現象を楽しんでほしい 」というコメントに対しては「 もう少し作者として見所を明確に示してくれないと、どうして良いか分からない 」という声もありました。
制作の目的 と それを成し得る方法論 について話題は及び、表現したいものが抽象的な感覚であるとしても作家は鑑賞者に責任のあるコメントを投げかけるべきだとの意見や、そもそも感覚的であるからといって抽象画というスタイルの枠を前提にする必要は無いのではないかという意見には、相づちを打つ参加者も多かったように思いました。
岡本さんの展示は11月27日迄です。みなさま是非お越し下さい。
(文 : 短期大学部美術研究室 教務助手/海野 由佳)