油画クロスポイント

vol.7/永島 千裕 さん

2005年度卒業(2期生)
東京を中心に制作活動中
永島千裕  作品「Alittleseeker」
「Alittleseeker」

大学時分は、工房がとても気に入っていて、毎日のように通っては、学校が閉まるまで絵を描いていた気がします。もちろ んずっと描いてばかりいたわけじゃなくて、周りの友達と何時間も絵の前で話をしたり(絵の話も、くだらない話も、なんだ か壮大な話も)、学校が終わってそのまま誰かの家に遊びに行 って夜通し起きていたり、そういうのがすごく大事で、かけがえがなかった。
描くための場所があって、同じようにものを作りたい、何かを表現をしたいという仲間が周りにいて、ただ描くことが許されている、というのが、凄く自由だった。学校と、学生自身が 、個人的で、雑音の少ないことが、私にとってはとても過ごしやすい空間だったのだと思います。

永島千裕 作品「金の器」
「金の器」
私はずっと絵が好きで、描くべきだと感じてきましたが、その描くべきだと感じているイメージと絵を合致させることが難しかった。大学で得た一番大きいものは、自分にとっての表現の手段、方法、思考力を導き出すのための可能性をみたことだったと思います。
基礎的な素材、表現方法、思考力、歴史があるということを実習課題から学び、その上で、これから自分になにが出来るか、今自分にとって一番相応しい形、表現すべきものというのはなにかということを考え、試行錯誤していました。合評などを通して、自らの考えを深め、それを過程を含めて言葉で表現することも、今となっては大事な訓練だったのだと思います。これも表現方法の一部であり、重要な実践的スキルになっています。
また、分野内外を通して、いろんなタイプの人の制作をみることができたことは、刺激もありました。油画教室は日本画の工房と近いせいもあり、私は日本画の工房にもよく出入りしていたのですが、四年生の時には日本画の子と同じ教室だったこともあって、紙張りや、絵の具のことなどを教わって、これは現在の制作にそのままつながっています。


永島 千裕  作品「聖人の幹」
「聖人の幹」

全ては、描きたいもの、描くべきもの、思考力、制作行為を一致させてゆく、ベースとなったものです。

現在は、東京を拠点に制作活動と発表を行っています。毎日制作しているので、学生の時分とあまり変わらないなあと思うこともありますが、どんどん絵が個人的になるとともに、それが直接世界と関わっていくということを実感しています。学生の時に、「学生の時は停滞しているように感じるかもしれない時間も、社会に出ると毎日が違う一日だということを知る」と先生が言っていたのを思い出します。まさにその通りで、今日やったことが明日を作っていく様は、ほんとうに日々勉強なのだと感じます。
こうしたほうがいいとか、ましてやこれが最短なんていうことは、全く無いようなもので、それぞれのその時々の流れにふさわしい物を掴んでは、ひとつひとつやっていくしかないと思います。いつも必要なものは興味の向いた先にあるものだと思うので、信じていることに忠実に動いていれば、波はやって来るもの。それはどこからか発生するもののようで、自らが引き寄せているのだとも思います。呼び合うものには引力があります。いつも感覚に真摯でありたいですね。

永島千裕HP:http://neverisland.holy.jp/main.html

この記事は2008年10月時点のものです。


永島 千裕
略歴

1983年
  • 静岡県に生まれる

2002年
  • 京都嵯峨芸術大学造形学科入学

2006年
  • 京都嵯峨芸術大学造形学科卒業

2008年
  • 個展「The Stranger」
    (本郷/トーキョーワンダーサイト本郷)
  • 個展「at the space time」
    (京都/イムラアートギャラリー)
  • 個展「永島千裕展」(銀座/たけだ美術)
  • ワンダーシード2008入選

2007年
  • トーキョワンダーウォール都庁2007個展(東京都庁)
  • トーキョーワンダーウォール2007大賞受賞
  • 個展「うだいの森」(銀座/青樺画廊)

2005年
  • DISCOVERY2005(グループ展/銀座/青樺画廊)
  • 「中村邸にて。」展(グループ展/北海道)

2004年
  • トーキョーワンダーウォール2004入選



08/10/02

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