京都嵯峨芸術大学山本ゼミでは2012年度活動に1つとして、voice galleryにおける「bp2012 (blue project)」に参加しています。
voice gallery bp2012(blue project) 山本ゼミ Expedition2 「田中里実」
会期:2012年6月5日(火)〜6月23日(土) (日、月曜休廊)
12:00〜19:00 (最終日は17:00まで)
会場:
MATSUO MEGUMI + VOICE GALLERY w
京都市南区東九条西岩本町10 オーシャンプリントビル/OAC1階
共感覚という言葉をご存知でしょうか。
わたしたちは普段、生活をしながら「見る」「聞く」「匂う」「触る」「味わう」という5つの感覚を使っています。共感覚とはこのうち、2つ以上が同時に出てしまうことを言います。
食事をするとその味に沿った形を、手のひらや腕の内側に実際に手に取るように感じたり、匂いをかぐとその匂いの色が目の前に現れたりするのです。
これは脳の処理過程の中で起こることで、それにより2つ以上の感覚器が同時発現してしまいます。イメージや空想、比喩や例えではなく現実に起こり感じ取っているのです。
そしてわたしも共感覚者の1人であり、私の場合は聴覚と視覚の共感覚を起こします。
音(旋律のあるものや、環境音の中で特に目立つ音)に対し目の前に色が発生します。
物心ついたころからあったため、わたしにとってはごく普通の情景でした。
このメロディは黄色い丸い形がたくさん集まってひとつになって最後は押し出されていく。
ここの工事現場は黄色と赤茶色の鋭い線が飛び交っている。
あの車のクラクションは濃いオレンジグラデーションの煙のよう。
そんな世界がわたしには普通でした。体調や天候によって少し色の変化はあるものの、音と色のペアはほとんどぶれないのです。
そして今、美術の世界と出会い、小さいころから「おかしな子」と言われて塞いでいたこの視覚世界を使って表現を試みています。視覚芸術と言われているこの美術の世界にも、視覚以外の感覚器で鑑賞することができたらもっと表現の可能性が広がるのではないでしょうか。
また、共感覚という研究が発展途上にある分野にも証明として提示できるものがあると考えています。
ただの証明で終わらせるのではなく、また見えるものの再現だけでもない。この共感覚を使った表現の可能性に期待を寄せ、また責任を感じ、制作しています。
田中里実
展示風景
12/06/05