夏の記事を年明けにようやくUPするかたちになってしまいますが、パリ研修旅行報告です。
9月後半に11日間の日程で、佐藤先生(仏文専門)と私の2人で約40名の学生を引率して「パリの美術館と都市空間」ツアーに行ってきました。それぞれがミュージアムパスと地下鉄のカルネを手にして、パリ東駅近くのホテルを拠点にパリ市内の美術館や歴史的な建造物、街並みを見学して回りました。
しかし40人という数は結構大変で、実際の研修行動はもちろん、飛行機にしろホテルにしろ手配からして大変で、契約した旅行会社も30人以内程度でのプラン提案だったので、当初の予定とは細かいところであれこれと変更が出ました。それでも何の事故もなく無事旅行を終えられ、ホッとしています。
スケジュール前半は全体行動。
でも、人数が多いのでA・B・Cの3班編成、それぞれ佐藤先生、添乗員の泉さん、宇野の引率で動きます。
今回、添乗をしていただいた泉さんには本当に感謝!です。
まさに「出来る女」という感じで、細かいことまでよく調べてくれているし、ちょっとしたトラブルに対する用意もケアも完璧、面倒見も良く、責任感も強い、頼りになるうえにフレンドリーで、学生たちの良きお姉さんとして大活躍してくれました。
それでいて変になれなれしくもならず、適度な距離感を持って学生に対応してくれる。素晴らしい人材!うちの大学にスカウトしたい!!と心底思いました。
泉さん、海外を飛び回る仕事に体力がついていけなくなったら京都嵯峨芸術大学に転職しませんか?
学生も良くなついて(?)、「いずみ〜るぅ」と勝手にニックネームをつけて呼んでいました。(実は会社でも「いずみーる」と呼ばれているそうで、最初に学生に呼ばれた時には会社の人がいるのかと思ってびっくりしたそうです。)
研修旅行に参加した学生は9割が女子だったので、おじさん2人の引率ではちょっと不安もあったのですが、おかげで安心して過ごせた11日間でした。
最初の3日間は午前中は全員ルーブルへ。もちろん中では自由行動。それぞれに作品を見て回ります。
午後は班別行動。事前に検討したプランに沿ってそれぞれ別の美術館へ。
A班・造形日本画+短大チーム、B班・造形油画チーム
あまりにも有名なルーブルを代表する彫刻作品、ニケ像、ミロのビーナス
3日間とはいえ、日課のようにルーブルに行って鑑賞三昧。大きな美術館なので歩くだけでも結構疲れますが、充実した疲れ方、満足感。ちょっと休憩しながらボーっとしていても視線の先にはうっとりするような貴重な美術作品が・・・。なんて幸せなんだろう。
石膏デッサンでおなじみの彫像のオリジナルも多々あります。
たくさんの彫像を見ていると、石膏像にしたものとしなかったものの違い・何を基準に選んだんだろう?なんでこの位置でカットしたんだろう??と気になってしまいます。
ルーブルでは写真撮影OK。みんなお気に入りの作品の写真を撮りまくってます。
気持ちはわかるけど、いくらメモリ−があっても足りないだろう。しかも画集などの方が画質がいいに決まってるし。自分で撮った臨場感はあるにしても、ガラスの反射や展示の高さの関係などでうまく取れない作品も少なくありません。
で、どうせなら何かテーマを決めて「画像採集」をしてみたらどうでしょう?手の表現だったり、目の表現だったり、レースの表現だったり、モチーフや色彩・様式などの比較資料の収集をしてみるのも面白いと思います。
こんな感じに・・・。
これも誰もが知っている「モナ・リザ」。最前列に陣取ってピースサインをしているのは油画の4回生。
以前はもっと近くで見ることができたような記憶が・・・。ガラスケースの中なのは変わらないのですが。
中学生?の授業。パリ市内の学校なのでしょうか。うらやましい環境です。美術の授業がルーブルでおこなわれているなんて。・・・ん?ひょっとしたら歴史の授業だったかも。
これもルーブル名物?模写をする人。
T君もそれに影響されてか、彫刻をスケッチ。
4日目からは小グループに分かれての自由行動。
引率者は、ちょっと不安なグループに付き添ったり、複数グループが重なっているポイントで待機したりして様子を見ていましたが、学生たちもその前の3日間の行動で地図を見ながらの移動にも地下鉄の乗り換えにも慣れて、思ったよりのびのびと動き回っていました。
セーヌ川のほとりで。「パリの恋人たち」を背景に。
画面右上に小さくラブラブな二人が写っています。
滞在したホテルの最寄駅。最寄というより、ホテルの下がメトロの駅だ。
学生たちはどうしても日本人グル−プでいると、普段のおしゃべりしながらぶらぶら歩くペ−スで行動してしまう。
「歩いていたら声をかけられてそのままついてこられて、怖い思いをしました。」という学生が何人かいたけれど、海外の大都市で若い女の子が日本国内と同じぶらぶらペースで歩いているのは「誰かかまってちょうだい」と言っているのと同じこと。
「え〜っ、そんなこと思ってませんよ〜。」とみんな口をそろえますが、そういうものです。気楽に旅行できるようになったとはいえ海外は海外、文化も習慣も違うよその国ですよ。そのつもりで周りを見てごらん。みんなスタスタと行先目指して速いペースで歩いてるでしょ!?ぶらぶらペースは幼児と老人だけです。
佐藤先生なんてパリに着いた途端、妙に歩くのが早くなってるでしょう!?きっともうパリの人に戻っちゃってるんじゃないのかな。
カフェでのひと休みや食事もパリの欠かせないお楽しみ。
「ちょっといい感じですね。」「今夜はここで食事にしましょうか?」「コンフィ・ド・キャナールありますね!」
佐藤先生と。「飲んでませんよ・・・少ししか。」
学生たちとも日替わりであちこちのカフェへ。
Mさんの強引な?リクエストで、ライブハウスなんかも行ってみました。
ちょいと自分撮りも。
これはラストナイトの食事会。ホテル近所のカフェを貸切で。
ホテルの窓から。
海外へ行くと、時差ボケも手伝って、明け方の景色を撮りながら時間をつぶすのが習慣になってしまってます。
意外と安らぐひときです。
ホテル近くの運河。水位を調整するための水門がところどころにあります。スエズ運河方式ですね。
フリータイムの街歩き。マルシェ、路地の市場です。
フリータイムを利用して友人のムッシュー・ジャン・ルイと会い、彼の書斎にもお邪魔しました。
別の日にホテルにも顔を出してくれたのですが、なんとた、後日、京都嵯峨芸術大学へも遊びに来てくれました。長期の日本滞在だったので、学園祭の時にも来てくれたんですよ。
書斎のジャン・ルイ。
自宅とは別のアパルトマンにある書斎。フランス語の本はもちろん、日本語の本もたくさん。
それらに混ざって彼のコレクションが。日本のテレフォンカードなどのプリペイドカードがものすごい量であちこちに積み上げられています。阪急電車の秋の嵐山シリーズもコンプリート!!
ポンピドゥセンターよりスクリーン越しにパリ市内を望む。
モンパルナス地区・グループ行動。
旅の中盤以降は目的(行きたいところ)別に数名で行動しました。
サクレクール寺院前で。
その隣の教会。こちらは観光客もほとんど入らない。ステンドグラス越しの控えめな光がとても優しい。
ダリ美術館
壁抜け男
ムーランルージュ
小さな美術館めぐり
お気に入りはモロー美術館。モローの自宅アトリエを美術館として公開している。
生活スペースもそこそこで手ごろな広さのアトリエ。あまり贅沢は言わないから、この程度のアトリエが欲しいなぁ。(贅沢な望みです!)
自分のアトリエみたいに似合ってるでしょ?!
ノートルダム寺院
油画の学生たち
静謐な空間。
サントシャペル
礼拝堂全面に広がるステンドグラスが美しい。が、ちょうど修復中で一部は見られない。
後半に設定した郊外見学日。
宇野チーム約10名はジヴェルニー・モネの庭を目指して小旅行。
個人的には今回の旅行の大きなポイント。ぜひとも行きたかったところです。
モチーフにふさわしい場所を求めて移住した画家は少なくないけれど、モチーフとする風景を創り上げて、しかもそれを徹底的に作り込んだ画家はモネくらいではないだろうか。しかも政治まで動かして川の流れさえ変更させるなど、大胆な尊大さとゆるぎないこだわりを持って。
モネの作品を意識して。あぁ、モネはここで描いていたんだなあと、リアルに感じます。
不安定な天候で、晴れ・曇り・雨のすべての表情を短時間で味わうことができました。
ちょうどこの旅行期間に、プチ・パレ美術館で大規模なモネ展が開催されました。初日朝から並んで入場。
この旅行のメインはモネ!と言っても良いでしょう。全く個人的な思いではありますが。
モネの家。何ともかわいらしい。
最終日はヴェルサイユへ
だだっ広いエントランス。この時期、ちょうど村上隆の展示が行われていました。
ここは鏡の間。ゴージャスな!それでいてそこはかとなく漂う趣味の悪さ。
宮殿内を見学しながら、そりゃあ革命も起こるわな、と。
この文脈でいうのもなんですが、はるか前方に村上作品が展示されていました。
腐食した鏡越しの天井画。
庭園入口で。暗雲が湧いて出てくるように見える空模様。
実際この日は数分で天候がガラッと変わっていました。澄み切った青空が…と思っていたら土砂降り。お日様が出ているときは暑くてしょうがないのだけれど、日が差さなくなると肌寒い。雨が降ったら寒くて震えあがる。もう、さっさと帰ろう!と思っても、とにかく広い庭園なので、元の場所に戻るまでに結構かかる。
おかげでちょっと体調が悪くなった。・・・ような気がした。
でも、もたもたしているうちに天気も晴れに落ち着いて、ちょうどこの季節限定のイベント「噴水ショー」を見ることができました。
庭園のあちこちに配置された、それぞれ様式の異なる噴水が時間差で、あるいは一斉に水しぶきを吹き上げます。
これは何とも爽やかで、ゴージャスに、得した気分になれました。
11/01/18