研究室スタッフ紹介

宇野和幸
宇野 和幸  uno kazuyuki
  • 「気配としての実在」を具現化すること、「ズレが産み出す実感」の違和感を炙り出すこと

「inter infiltration 相互侵蝕」 展 1

7月14日(月)〜19日(土) 銀座のギャラリー「巷房」で「inter infiltration 相互侵蝕 宇野和幸VS吉岡まさみ」展を開催しました。



この展覧会は吉岡まさみさん(男性です)とのコラボレーション作品展です。
吉岡氏は、平面や写真の制作・発表もしていますが、テープインスタレーションで注目されている作家です。かれこれ10年以上の付き合いになりますが、今までに何回か国内外のグループ展に一緒に出品しています。
それらの活動の中で、私は勝手に「この人の作品とリンクできたら面白いものが出来るだろうな」と、コラボレーションを思い描いていました。ちょうど良いタイミングで巷房での展覧会の話が持ち上がったので、彼にその話をしててみると、「OK!やろう!」と即座に返事が返ってきました。
いいねぇ、このノリ。こうじゃなくっちゃね、コラボレーションなんて出来ないよ。グングンとエスカレートしていくノリ、サイクロンパワーみたいなノリがなくちゃ面白くない。



しかし、実際の制作はそう簡単にはいかない。
勝手に思い描いていたのは、自分に都合の良いところを最高の状態で、という部分なわけで、相手が思いどおりに動いてくれるわけでもない。もちろんそんなことは最初から分かってはいるのだけれど。

まずは小品制作がスタートした。
吉岡氏がパネルを発注し、その半分を私に送ってくる。お互いに仕事をしたパネル作品を相手に送りつける。それに仕事を重ねて送り返す。そういうやり取りを繰り返しながらの制作だった。



しかし、そのパネル自体が私にとっては使ってみようと思ったことも無いような分厚いパネル。しばらくの間「・・・厚いなぁ、これ。」と、いきなりハードルが高い。いや厚いか?!
結構な期間どうしたものかと悩んでいたのだが、ふと、「木(パネル)が厚いなら、和紙(私の主要素材)も厚くしちゃえば、厚みはチャラだな。」と、変なことを思いついて、一気に制作が加速する。「いっそのこと樹木の年輪みたいに紙の年輪を作っちゃえ!」と、ノリノリに。
傍から見るとどうでもいいような細かいことでも、制作している側にしてみれば、最高の発見・発明という感じの充実感と実感があるものだ。それ自体はたいしたことはないのかもしれないけれど、そこからどんどん展開していける確信を持って先が見通せる感じになるのが気持ちいい。





地下の「巷房・階段下」は、その名の通り階段下の倉庫スペース。ここも単独で展覧会が行われる展覧会場だ。
ここでは、吉岡氏の写真の上にアクリル板の塊にくりぬかれた和紙の束を重ねて置く、インスタレーションの展示とした。アクリルの層をじっくり覗き見ていくと、少女の顔が見える。最下部に敷かれた吉岡氏のNYで撮影した写真の一部だ。
08/08/01

佐倉南高校の生徒さんたちから 3

以前このページに掲載した、千葉県立佐倉南高等学校の大竹先生が取りくんでおられる「美術鑑賞の授業」のその後を紹介したいと思います。
前回掲載した分は、大竹先生が主なものを抜粋した形での掲載でしたが、今回全感想文を届けていただきましたので、改めてご紹介したいと思います。

私の作品の鑑賞(生徒) → 作品についての感想文(生徒) → 感想文を読んで、コメント(宇野) → コメントを読んで、改めて感想文(生徒) という流れになっています。

感想文
 「“宇野教授より生徒たちへ”を読んで、及び川村記念美術館へ作品鑑賞に行ったこと」


2年A組(2008.6.27)<コメントを読んで改めて感想文>

返事をいただいて改めて作品を作っている側の人の伝えたいことや観方?などを教えていただいた気がします。私個人は音楽と美術は一緒だと思っています。

僕たちの短い感想に対して感想をありがとうございました。

よくわからなかったです。

美術に関して興味を持ちました。今まで普通の授業をやってきたけど、今日のこのプリントを読んでもっと色々やってみたいと思った。

感想に驚きと喜びを感じてもらって、また、その感想を参考に次の作品を作って欲しいなぁと思いました。

絵の世界って結構自分にとって難しいと思った。だけど、絵を見て思ったことが的外れじゃないことがチョッと嬉しかった。

芸術にはまだまだ深いことがいっぱいあると思った。

コンセプトに触れるのは良いことだと思った。

よくわからなかった。


2年E組(2008.6.27)<コメントを読んで改めて感想文>

知識による理解力に先導されない「感性」の扉が開かれて、そこから本当の意味での「観る」こと「感じる」ことが始まっていくのです。という言葉は、そうかもしれない!!と思いました。

宇野先生が言う通り僕たちはプロではないけど、先生の作品を見て感想を抱けたことは素人でもプロでも同じだとわかり嬉しかったです。これからも頑張って下さい。

皆の感想が当たり前のような事でも重要なことだと知ってビックリしました。「実体の無い感覚の存在感」というのはとても描くのが大変だと思いますが、描き終えた時にすごい充実感があると思います。これからも素晴らしい作品を描き続けて下さい。

今まで鑑賞をしていて、自分は当たり前で何ともない一言のような感想を書いていたけど、とても重要なことだったんだと思いました。鑑賞は面白いんだと思いました。

書けません。大竹先生。

作品を作ることが大切なこと等がわかった。

お手紙を読んで、やっぱ上手く描くことがいいんじゃなくて、自分の好きなように描くことが良いんだと思いました。

うち等が書いた感想でこんなにも喜んでくれたことにビックリしました。やっぱり凄い作品を作るんだから考えることも立派だと思った。

私たちが読み取れないこともあって、聞いていて「あー…」って思うことと「ん?」と思うことも在りました。難しいことばかりだけど、作者が何を伝えたいのかの熱心さは伝わってきました。

これを読んで凄い作者がどう思っているかわかった。作品一つにどのように思ったかがわかり、良かった。

返事がもらえてすごく嬉しかったです。頑張ってください。


2年B組(2008.6.27)<コメントを読んで改めて感想文、又は、川村記念美術館の感想>

自分は絵を見るのが好きです。なぜなら、絵一枚一枚個性があって色々考えさせてくれるからです。「この絵は何を伝えたいのだろう」と考えている時間が楽しいです。

コンセプトは難しくてよくわからなかったです。スイマセン!感想を読んでくれて嬉しかったです。

まだ先生のように知識は無いですが、逆に知識による理解力に先導されないです。

授業で作品を見て何となく感じたことを感想に書いて送っただけで喜んでくれたようで良かったです。

私たちの感想を読んでもらって、その返事までもらえて、嬉しく思いました。

さらに具体的な制作方法も知ってみたいと思った。

私たちが思ったことをこんなふうに思ってくれて嬉しい。宇野さんが言っていることが少し難しく感じてしまう。

私たちの感想に対して凄い色んな詳しいことを返して頂いたけど、私たちの感想なんかも参考になってれば良いと思った。

よくわかりませんでした。でも、絵がそれぞれで見方が変わったりするのって楽しいと思います。

本当にレンボーブリッジみたいですね。

よくわからなかった。  
美術館の中は結構面白かった。色んな絵を見れて良かった!


2年C組(2008.6.27)<コメントを読んで改めて感想文、又は、川村記念美術館の感想>

ぱっと見た時、何が何だかよくわからない絵が沢山あるけど、その絵はただ描いたのではなくちゃんと狙いや思考、意思、想いなど沢山のものが詰まっていることがわかりました。知識や理解力に先導されない感性が大切で、そこから観ること、感じることが始まるということがわかりました。

芸術というのは一本の線で様々な見方があって、それによって人それぞれの読み取り方があると思います。僕の場合は見たものをパッと表現するのではなくそれがどういう風に描いたのかと深く考えてしまいます。そうして芸術にとけこんでいます。自分たちの感想を読んでいただきありがとうございます。

自分が何気なく作品を見て思ったことは、普段あまり芸術に触れていない自分の“どうでもいい”ような感想と思っていたけど、そのと“どうでもいい”ような自分の作品に対する感想もすごく意味のあるものだと気がついた。美術館で見た作品に対する自分の思いも何か意味があったのかなと思った。

まず、自分たちの考えていることを読んでもらって、それに対して直接文章をくれたのは非常に興味深かった。これからは、美術は知るんじゃなくて感じようと!思った。

自分は芸術についてよくわからないけど、芸術家たちは一つ一つの作品に何かの考えや思いを込めて作っているというのがよくわかりました。

文章を読んで改めて人それぞれの感性があるんだと思い、これからもその感性を大事にしていきたいと思いました。

自分たちではコンセプトや意味を考えずに書いた感想で、興味深く読んでもらえて嬉しいです。今後、作品制作の時間に考えてみたいと思います

まず最初に、とても長い文だけどわかりやすくて読みやすかったです。これを読んで、美術がとても好きになりました。また機会があったら川村記念美術館に行きたいです。

自分には芸術についての考えがわかりすぎる。凄いと思った。尊敬できます!!

文章が難しくてよくわからない。美術館に行って、、、よくわからない絵ばかりだった。自分でも描けそうな絵もあったし、どこが優れているとかよくわからなかった。

自分は芸術はわからないけど、芸術家たちは一つ一つの作品に何かの考えや思いを込めて作っていることがわかった。芸術って凄いと思った。


2年D組(2008.6.25)<コメントを読んで改めて感想文、又は、川村記念美術館の感想>

わざわざ佐倉南の生徒のためにお手紙を書いてくれるなんて優しい人だなと思った。私は只の高校生だから難しいことはわからないけど、美術は奥が深いと思った。美術館へ行って色々な作品を見れて良かった。ちゃんとしたもの(風景画)よりグチャグチャしているような絵(例えば気持ちとか)が好きでした。

全然、作品を見ていく中でちゃんとした評論をしなくても思ったことを素直に言えばいいんだなと思った。「コレが答え」ってのが無いから、自分の思ったことが少しは当たってるのかなって思った! 美術館はいろんな作品がいっぱいで、見てて飽きなかった。

川村記念美術館に行ってみて、今まで見たことの無い作品を見ることができて、新しい発見がいくつもあった。行ったことによって作者に対する気持ちなどが少し読み取れたような感じだった。

観ること感じることの感性の大切さがわかりました。

僕は昔から絵を描いたり見たりするのが好きでした。美術の授業で美術館に行った時は、実は凄く楽しみでした。そして、美術館という中で作品を見るのは初めてだったので勉強になった。

僕は特に何も考えないで書いた感想だったのにあんなに詳しく返してくれるなんて思ってもいなかった。やっぱりアーティストは違うと思った。僕も宇野さんみたいに素晴らしい絵と感性を持ちたいと思った。

自分たちが感想を書いて、それに対して作者が返事をしてくれることが凄いと共に、絵を通して意図など色々なことを知れた気がした。

自分のさりげなく思ったことが本当はものすごく深く、良いことなんだと思った。

誰でも、素人の自分たちでも鑑賞での本質に迫るとこを感じ取れているということを教えてもらって良かった。

作品を見て思ったことを書いただけのことに返事をまた書いてくれた宇野さんはとても律儀な方なんだと思います。

ご返事ありがとうございます。一般的な学生の意見ですが、このようにきちんとしたご返事をありがとうございました。

色んな作品があって良かったです。奇麗なものもあれば、よく分からないものもあって楽しかった。

美術のプロ(先生)というのもあると思うけど、自分には思いも付かない絵を描けて、想像力が凄いな、と思った。どれも奇麗な絵だと思う。


2年F組(2008.6.25)<コメントを読んで改めて感想文、又は、川村記念美術館の感想>

自らに課した制作システムのルールということで、二つのルールの例(?)があげられていたけれど、他の人から見たら、何の絵かわからなくても、自分の中では確かに決まっているものがあって、それを表現するのが芸術なんだろうと思った。

私はただ思ったことを書いただけでした。でも、そんな簡単な感想にこんな多くの返事や感想を書いてもらえるとは思わなかったです。難しくて、あまりわからなかったけど、一言に芸術といっても深いんだなあと思いました。

美術作品にはその人が歩んだ人生によって見方、価値感が違って、思ったこともそれぞれ変わってくると感じた。 川村記念美術館に行ってそれを初めて実感した。

決められた答えって無いと思った。(表現は人それぞれだから)

そのとおりだと思った。宇野さんの言っていることは正しいと思った。

面白いと思った。

見て思ったことをそのまま言葉や文章にするということがとても大切だということがわかった。

宇野さんがうちらの書いたやつを読んでくれて嬉しかった。

自分たちが思ったことをちゃんと考えて喜んでくれて良かったです。

宇野さん、お返事ありがとうございます。これからも頑張ってください。

美術館に行って沢山の絵があってどれも個性的で一つも同じような絵が無くて、飽きなかった。絵だけじゃなくて、模型なども在って楽しかった。


2年G組(2008.7.2)<コメントを読んで改めて感想文>

授業として作品を作る私たち生徒にとっては、芸術作品というより、「授業だから仕方なく・・・」という気持ちで取組んでいるのが本音です。でも、絵を描くこと、作品を造ることを仕事としている方たちはきちんとした柱のような物があり、やはり私たちとは全然違うなと思いつつ、少しだけ芸術分野というものに興味が持てました。

まだまだ自分たちは高校生だし、作品のコンセプトとかをちゃんと理解することはできないけど、知識が無くても見てて興味を惹かれる作品を描く宇野さんの作品をもっと見てみたくなった。

私たちのためにこのような文章をサイトに載せていただいてとてもありがたい事だと思いました。宇野さんの作品がもっと見たいです。

この文を読んで、自分たちの感想を『感性』の扉が開かれるなどのように素晴らしい表現をしてくれて嬉しかった。現代の美術は奥が深く、興味が湧いてきた。

この文を読んで、自分たちの感想を1つ1つ大切に読んでもらえるのは本当に凄いことだと思いました。そして、喜んでもらえて良かったです。

この文を読んで美術って奥が深いなーと思った。前より興味が湧いてきた。もっと宇野さんの作品を見たいと思った。

この文を読んで、僕たちが書いた感想をしっかり見ていただいたことが嬉しいです。

私たちの書いた感想で宇野さんに驚きと喜びを感じて頂き良かったと思います。

自分たちがただ書いた感想に宇野さんは色々とコメントをくれて、凄いと思う。これからも芸術について頑張って欲しい。

難しいことが一杯書いてあったけど、素晴らしいことを言ってるなということは読んでわかった。


3年生(2008.6.24)<コメントを読んで改めて感想文、又は、川村記念美術館の感想>

鑑賞するということは、自分がどれだけ何かを感じるかが重要なのだなと思った。作品を見て、何を思い浮かべたか、どんな気持ちになったか、そこに何が見えたか、自分自身が感じたそのことを鑑賞というのだなあと思った。
川村美術館の先生も、(大竹)先生もそれを引き出そうとしていたのだなあと思った。そいで、その人の感じたことに対しまた違うことがわかり、見えたりもするのだなあと思った。
あと鑑賞も、作品作りも、1年生の時から先生は『静かにやらなければできない』と言っていたのが最近になってやっと本当にそうだなあと思った。真剣に取組んだ作品には、自分の下手なものだとしても、達成感があるし、作品は全てその作った人の思いがあるのだから真剣に鑑賞することが大事だと思った。考えてみたら、賑やかな美術館なんて聞いたことないし、当たり前だろうけど、見学を通して当たり前のことがわかった。

いつも平面的な作品ばかり見ているので、立体的な作品は新鮮で興味をそそられた。特に、入り口のところに出ていた作品(まるでガラクタを積み上げた城のような)は黙ってじっと見ていたくなる不思議な感覚になった。それは懐かしく、切ない気持ちだった。館内にも『ほう』と思う作品が多々あり、不安になったり楽しくなったりして、久しく心が色々な動きをしてくれた。鑑賞はいいなと思った。今度は一人でゆっくり静かに見たい。

初めて美術館に行ったが、とても不思議な空間に来たような感じがした。鏡に映ったような部屋の絵もベランダに座っているおばさんのような像も一つ一つ違う絵や作品への思いが少しずつでも伝わってきたような気がしました。とても素晴らしい発想だなと思いました。

川村記念美術館に行って、色々な作品を見て、私には良くわからないものが多かったけど、それぞれに何か伝えたいことや意味があるのかと思うと、詳しい話を聞きたいなと思いました。題名も見ると、とても深いなと思いました。映像が流れていた作品は物語を見た人が作るということだったけど、本当はあのおばさんは誰なのかとか、いつの映像だったのかなどが知りたいです。

川村記念美術館に行って、授業で見た絵も一杯あった。授業ではスクリーンで見たから、本物の絵の大きさが全く予想できなかったけど、本物を見たらすごい大きかったり、小さかったり、様々だった。近くで見るのと遠くで見るのとでは描いてあるものが違って見えたりした。

私が授業で見た作品の感想がこんな形でお返事がもらえて、芸術でつながりを持てたことが嬉しかったです。芸術作品にはその作品を作った人の気持ちがあって、一つの作品ができてるということを聞き、あらためて作品に対しての見方が変わりました。

読んで、学校の鑑賞の時間がけっこう大切な時間だって気付いた。

美術をとても追及した人の文章だなと思いました。作品の「コンセプト」理解していきたいと思います。美術館では様々な趣き深い作品が沢山見ることができて、スライドで見るよりもやっぱり実物を見た方が沢山良いなあと思うところがありました。とにかく面白かったです。

美術館に行ったのは初めてだった。学校でスライドを使って鑑賞するのと、実際に目の前の作品を見るのではかなり違った。

美術館の感想  不思議な作品が一杯あった。難しかった。

美術館には色々な人の作品があって面白かった。一つの作品を作るのに色々な作り方・描き方があるのがわかった。

美術館には色々な作品があった。凄くシンプルな作品が沢山あった。美術作品に優劣は付けられないと思った。

何の繋がりも無かったけど、芸術という分野で佐倉南高校と宇野さんが繋がった。これもまた、芸術の力なのかなと思った。芸術を見る目が無い素人の高校生でも制作者の気持ちを少しでも理解することができて良かった。

あの赤い絵は自分にもできそうな気がする。
面白い絵・作品が沢山あった。

感想を書いて返事が返って来るのはとても嬉しいことです。感性っていうのはとても良いことなんだなと思いました。感じたことをそのまま言葉にするっていうのは良いことなんだなと思いました。

前回の美術館は、いつも学校でやっている鑑賞とは違って平面だけではなく立体な作品を見れたのは貴重な体験ができた。かなりいろんな種類の作品があって凄かった。

美術館は初めてだが、一つ一つの作品を楽しめた。また行ってみたいと思う。とても複雑な作品から簡単に描けそうな絵など、いろんな作品があって、とても楽しかった。

先週川村記念美術館に行って多くの不思議な作品を見て、本当に色々な作品があった、と思いました。中には自分にもわかりやすく理解できる作品もあれば、何を表現しているのかよくわからない作品もあって面白いと思いました。

川村記念美術館へ行った時の感想  色々な作品があって、色々な作り方のものがあって面白かった。絵も面白かったけど、立体的な作品はイメージしたりすると色々なものが浮かんできて楽しかった。

川村記念美術館に行って、沢山の絵を見たけど、特に印象的なのは映像が流れていて、隣におばさんが座っていた作品です。ああいう作品は今まで見たことが無かったので印象的でした。色んな作品を沢山見れて良かったです。

美術館は色んな作品があって面白かった。宇野和幸さんは美術に対して凄く深く考えていて凄いなぁと思った。


08/08/01

美術鑑賞の授業2(佐倉南高校の生徒さんたちからのコメント)

以前このページに掲載した、千葉県立佐倉南高等学校の大竹先生が取りくんでおられる「美術鑑賞の授業」のその後を紹介したいと思います。

私の作品の鑑賞(生徒) → 作品についての感想文(生徒) → 感想文を読んで、コメント(宇野) → コメントを読んで、改めて感想文(生徒) という流れになっています。
今回紹介するのは、新たに大竹先生より届けられた、私のコメントについての佐倉南高校の生徒さんたちの感想です。

感想文 抜粋
 「宇野教授より生徒たちへを読んで、及び川村記念美術館へ作品鑑賞に行ったこと」

2008年6月28日

2年生

わざわざ佐倉南の生徒のためにお手紙を書いてくれるなんてやさしい人だなと思った。私は只の高校生だから難しいことはわからないけど、美術は奥が深いと思った。美術館へ行って色々な作品を見れて良かった。ちゃんとしたもの(風景画)よりグチャグチャしているような絵(例えば気持ちとか)が好きでした。

自らに課した制作システムのルールということで、二つのルールの例(?)があげられていたけれど、他の人から見たら、何の絵かわからなくても、自分の中では確かに決まっているものがあって、それを表現するのが芸術なんだろうと思った。

私はただ思ったことを書いただけでした。でも、そんな簡単な感想にこんな多くの返事や感想を書いてもらえるとは思わなかったです。難しくて、あまりわからなかったけど、一言に芸術といっても深いんだなあと思いました。

知識による理解力に先導されない「感性」の扉が開かれて、そこから本当の意味での「観る」こと「感じる」ことが始まるのです。という言葉は、そうかもしれない!!と思いました。

宇野先生が言う通り僕たちはプロではないけど、先生の作品を見て感想を抱けたことは素人でもプロでも同じだとわかり嬉しかったです。これからも頑張って下さい。

皆の感想が当たり前のような事でも重要なことだと知ってビックリしました。「実体の無い感覚の存在感」というのはとても描くのが大変だと思いますが、描き終えた時にすごい充実感があると思います。これからも素晴らしい作品を描き続けて下さい。

今まで鑑賞をしていて、自分は当たり前で何ともない一言のような感想を書いていたけど、とても重要なことだったんだと思いました。鑑賞は面白いんだと思いました。

返事をいただいて改めて作品を作っている側の人の伝えたいことや観方?などを教えていただいた気がします。私個人は音楽と美術は一緒だと思っています。

ぱっと見た時、何が何だかよくわからない絵が沢山あるけど、その絵はただ描いたのではなくちゃんと狙いや思考、意思、想いなど沢山のものが詰まっていることがわかりました。知識や理解力に先導されない感性が大切で、そこから観ること、感じることが始まるということがわかりました。

まず、自分たちの考えていることを読んでもらって、それに対して直接文章をくれたのは非常に興味深かった。これからは、美術は知るんじゃなくて感じようと!思った。

自分は芸術についてはよくわからないけど、芸術家たちは一つ一つ作品に何かの考えや思いを込めて作っているのがよくわかりました。

芸術というのは一本の線で様々な見方があって、それによって人はそれぞれの読み取り方があると思います。僕の場合は見たものをパッと表現するのではなくそれがどういう風に描いたのかと深く考えてしまいます。そうして芸術にとけこんでいます。自分たちの感想を読んでいただきありがとうございます。

自分が何気なく作品を見て思ったことは、普段あまり芸術に触れていない自分の"どうでもいい"ような感想と思っていたけど、そのと"どうでもいい"ような自分の作品に対する感想もすごく意味のあるものだと気がついた。美術館で見た作品に対する自分の思いも何か意味があったのかなと思った。

全然、作品を見ていく中でちゃんとした評論をしなくても思ったことを素直に言えばいいんだなと思った。「コレが答え」ってのが無いから、自分の思ったことが少しは当たってるのかなって思った。美術館はいろんな作品がいっぱいで、見てて飽きなかった。

美術作品にはその人が歩んだ人生によって見方、価値観が違って、思ったこともそれぞれ変わってくると感じた。川村記念美術館に行ってそれを始めて実感した

川村記念美術館に行ってみて、今まで見たことの無い作品を見ることができて、新しい発見がいくつもあった。行ったことによって作者に対する気持ちなどが少し読み取れたような感じだった。


3年生

私が授業で見た作品の感想がこんな形でお返事がもらえて、芸術でつながりがうれしかったです。芸術の作品にはその作品の作った人の気持ちがあって、一つの作品ができてるということを聞き、あらためて作品に対しての見方がかわりました。

美術をとても追及した人の文章だなと思いました。作品の「コンセプト」理解していきたいと思います。美術館では様々な趣き深い作品が沢山見ることができて、スライドで見るよりもやっぱり実物を見たほうが沢山良いなあと思うところがありました。とにかく面白かったです。

読んで、学校の鑑賞の時間がけっこう大切な時間だって気付いた。

鑑賞するということは、自分がどれだけ何かを感じるかが重要なんだなと思った。作品を見て、何を思い浮かべたか、どんな気持ちになったか、そこに何が見えたか、自分自身が感じたそのことを鑑賞というのだなあと思った。
川村美術館の先生も、(大竹)先生もそれを引き出そうとしていたのだなあと思った。そいで、その人の感じたことに対しまた違うことがわかり、見えたりもするのだなあと思った。
あと鑑賞も、作品作りも、1年生の時から先生は『静かにやらなければできない』と言っていたのが最近になってやっと本当にそうだなあと思った。真剣に取組んだ作品には、たとえ自分の造った下手なものだったとしても、達成感があるし、作品は全てその作った人の思いがあるのだから真剣に鑑賞することが大事だと思った。
考えてみたら、賑やかな美術館なんて聞いたことないし、当たり前だろうけど、見学を通して当たり前のことがわかった。

いつも平面的な作品ばかり見ているので、立体的な作品は新鮮で興味をそそられた。特に、入り口のところに出ていた作品(まるでガラクタを積み上げた城のような)は黙ってじっと見ていたくなる不思議な感覚になった。それは懐かしく、せつない気持ちだった。館内にも『ほう』と思う作品が多々あり、不安になったり楽しくなったりして、久しく心が色々な動きをしてくれた。鑑賞はいいなと思った。今度は一人でゆっくり静かに見たい。

初めて美術館に行ったが、とても不思議な空間に来たような感じがした。鏡に映ったような部屋の絵もベランダに座っているおばさんのような像も一つ一つ違う絵や作品への思いが少しずつでも伝わってきたような気がしました。とても素晴らしい発想だなと思いました。

川村記念美術館に行って、色々な作品を見て、私には良くわからないものが多かったけど、それぞれに何か伝えたいことや意味があるのかと思うと、詳しい話を聞きたいなと思いました。題名も見ると、とても深いなと思いました。映像が流れていた作品は物語を見た人が作るということだったけど、本当はあのおばさんは誰なのかとか、いつの映像だったのかなどが知りたいです。

川村記念美術館に行って、授業で見た絵も一杯あった。授業ではスクリーンで見たから、本物の絵の大きさが全く想像できなかったけど、本物を見たらすごい大きかったり、小さかったり、様々だった。近くで見るのと遠くで見るのとでは描いてあるものが違って見えたりした。

美術館に行ったのは初めてだった。学校でスライドを使って鑑賞するのと、実際に目の前の作品を見るのではかなり違った。

2008年7月3日

授業として作品を作る私たち生徒にとっては、芸術というより、「授業だから仕方なく・・・」という気持ちで取組んでいるのが本音です。でも、絵を描くこと、作品を造ることを仕事としている方たちはきちんとした柱のような物があり、やはり私たちとは全然違うなと思いつつ、少しだけ芸術分野というものに興味が持てました。

まだまだ自分たちは高校生だし、作品のコンセプトとかをちゃんと理解することはできないけど、知識が無くても見てて興味を惹かれる作品を描く、宇野さんの作品をもっと見てみたくなった。

私たちのためにこのような文章をサイトに載せていただいてとてもありがたい事だと思いました。宇野さんの作品がもっと見たいです。

この文を読んで、自分たちの感想を『感性』の扉が開かれるなどのように須晴らしい表現をしてくれて嬉しかった。現代の美術は奥が深く、興味が湧いてきた。

この文を読んで、自分たちの感想を1つ1つ大切に読んでもらえるのは本当に凄いことだと思いました。そして、喜んでもらえて良かったです。


みなさん、ありがとう。
7月14日から19日に、銀座のギャラリー「巷房」で吉岡まさみさんという作家と2人でコラボレーションの展覧会を開催します。
また作品を見ての感想を寄せてくれたらうれしいです!

08/07/10

「LANDSCAPE OF MIMESIS」 

「LANDSCAPE OF MIMESIS」 
ある時期からの私の作品は、全てこのタイトルにしている。
擬態の風景、擬態する風景。それぞれが単独の作品でありながら全体でもある、そんな作品として成り立ってくれたらよいと思う。
基本的に同じタイトル、同じコンセプトの作品(乱暴な言い方をすれば、だが)でも、並べてみるとずいぶん変わってきていることに改めて気付く。


「LANDSCAPE OF MIMESIS」 和紙・アクリル板にミクストメディア 200x300cm 1993年


「LANDSCAPE OF MIMESIS」 和紙・アクリル板にミクストメディア 210x150cm 2005年 



「LANDSCAPE OF MIMESIS」 和紙・アクリル板にミクストメディア 210x150cm 2005年



「LANDSCAPE OF MIMESIS」 和紙・アクリル板にミクストメディア 180x240cm 2005年



08/06/26

芳野ゼミの取材(5)

これは、アメリカ・ニューヨークでの9.11テロをモチーフにした個展の展示風景です。

壁面に対して右側が斜めに出っ張るような展示、作品の一部に穴を開けてそこからフラッシュの光が洩れてくる仕掛け、シルエットがプリントされたアクリルのタワーを配置する、など展示方法も変えた展覧会でした。


「LANDSCAPE OF MIMESIS FROM 911」  ギャラリー睦 2003年
08/06/26


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