対象を正確に捉え、しっかり描写すること。これは絵画表現にとってもっとも大切な核となる要素です。あるがままの姿をあるがままに描く・・・静物、人体、風景など具体的なモチーフを徹底して観察し、描写することを通じてその本質に迫っていくという絵画のありかたを追及する領域です。
そのためには、形を捉えるデッサン力・描きこむための描写力を身につけるとともに、材料・技法をはじめとする絵画の構造、構図・構成や色彩についての絵画理論などにも目を向け、研究していくことも必要不可欠な要素です。
ここでは、オーソドックスな卓上静物から、モノの見方に対する概念をゆさぶるようなモチーフ設定、主体的な構成を意識した課題による実習と、基本的な表現材料となる油絵具など画材に対する系統的な研究およびそれらを駆使する表現技法の修得も探求しつつ、具象絵画の奥深さを学んでいきます。
「何をどのようにみつめ、いかに描くのか」、目の前にあるものを描写することがなぜ芸術表現として成り立つのか・・・「観ること」と「描くこと」の関係を考察し、「絵画」の意味をも含めて考えながら、対象へのまなざしを磨いていきます。
いわゆる抽象形態による絵画だけでなく、平面での絵画表現全般を、一般的な画材以外のものや映像的手法など他のメディアまでをも作品制作における表現材料としてとらえ、新しい表現・オリジナリティのある作品制作を目指す領域です。
すぐれた作品が誕生するとき、そこには必ずすぐれたコンセプトがあります。
ここでは、単一の画材だけではなく複数種類の画材・材料を併用した表現や、映像的要素を取り入れた表現手法など、様々なかたちでの作品展開が望めますが、その一方で、単に材料・技法やアイディアの面白さだけで終わるのではなく、制作者として感性を研ぎ澄ますとともに、表現における思考力・コンセプトを構築する能力を身に付け、いかに作品のテーマ設定からそのプロセス・完成まで、一貫した意思と思考を持つことができるかが重要になります。
そのために、学生各自のテーマ設定による自由制作を含めて、様々な角度からのアプローチを試みる課題構成をとっています。
絵画・平面における表現の広がりと可能性を、半立体的な表現までをも含めて、ダイレクトにピュアにそのイメージを画面に刻みつけることをめざして、その技法や材料、思考の技法とともに探求していきます。
現代では、従来の絵画・彫刻・デザインなどの伝統的なカテゴリーでは収まりきれない多様な美術表現が存在し、それらの新しい動きは総称的に現代美術と呼ばれています。
そのなかでも「インスタレーション」と呼ばれる、立体・平面にまたがった仮設的表現を中心に、現代の美術における論理的な思考、表現方法の獲得を追求する表現領域です。
インスタレーション表現におけるベースとなるのは、作品を単体として捉えるのではなく、作品の存在する場や空間全体、さらにはそれに対する人の関わり方をも含めて「作品」としてとらえる考え方です。ここでは表現における思考力・コンセプトを構築する能力を培うとともに、<展示>=<作品の設置された状態>=<「作品」としての完成>までを含めて考察をめぐらせながら、常に客観的な視点をもち、様々な美術作家の表現手法の研究や新しいメディアへの視点も取り入れつつ、独自な表現を獲得することを目指します。
旧・京都嵯峨芸術大学 油画分野(オフィシャルサイト)